語らない優しさもある

優しさとは、アドバイスをすることだけではない。

時には、語らない優しさもある。

人の欠点やミスに気づいた時、アドバイスをすることは大切なこと。

それが、その人にとって成長するために必要なことなら。

アドバイスをする前に、今、その人にとって本当に必要なことなのかどうかを考えたい。

それがなかなかできない。

つい、気付いたことを口走ってしまう。

自分本意に考えてしまうと、相手に取って良いアドバイスだと勝手に勘違いしてしまう場合が多い。

そこで、人間関係のトラブルが生じやすい。

もしかしたら、アドバイスをしなくても本人は気付くかもしれないし、

もしかしたら、すでに気付いている可能性だって十分ありうる。

アドバイスを必要としているかどうか、一瞬で見極めることがアドバイスをする側にも求められる。

たとえば、画用紙に自分の好きなように家を描いてくださいと言われたら、

あなたはどんな家を描きますか?

憧れている理想の家を描く人もいれば、現実的な家を描く人もいるでしょう。

現実的な人は、三角屋根に一軒家を描く人もいるかもしれません。

ところで、あなたが描いたその家には煙突はありますか?

そして、その煙突からモクモクと煙は出ていますか?

心理の世界では、自分が思い描く家の煙突から煙が出ているかどうかで、その人の内面がわかるそうです。

そのため、煙が出ている人は要注意です。

なぜなら、思ったことを吐き出してしまっているからです。

煙突の煙は、その人の内面から湧き出る感情をあらわしているのです。

言い方を変えれば、素直な人です。

黙っていられないのです。

反対に、家に煙突を描かなかった人、もしくは、煙突から煙が出ていない人は、

自分の内面に感情を押し殺してしまっている傾向があるかもしれません。

内面に溜め込んでしまうこともよくありませんが、吐き出してしまうのも困りものです。

語らない優しさに、相手を思いやる気持ちが込められているから。

富安里佳