はじまりとおわり

〜2020年1月 熊本県にある上色見熊野座神社にて撮影〜

「はじまり」があれば「おわり」があるのです。

マラソン大会にもスタートがあればゴールは、必ずあるのです。

何かがはじまれば、何かがおわる。

こんな単純なことを理解しているつもりでも、理解できていなかったりするのです。

それは、自分に対してわかっているようなフリをしていただけかもしれません。 

無理矢理にも。

毎年4月になると新年度や新学期がはじまる学生、また新しく社会人となる会社員、もしくは、新婚生活や個人事業主、企業家として、新しい人生をスタートさせる人は多いはずです。

何かをはじめる時、これから起こるさまざまな出来事を期待しているのです。

自分の思い描く望みや願いで、気持ちは大きく膨らんでいるのです。

これから何が待っているのだろう。

この先に何が待ち受けているかかわからないけれども、好奇心で心が躍っているはずなのです。

でも、はじまってしばらくすると、思い描いて望みや願いは、少しづつ萎んでくるのです。

あれ!?


思い描いていたはずの望みや願いは、小さく萎んでしまっているか、別の望みや願いに大きくすり替わっているかもしれません。

理想と現実とのギャップを思い知らされることになるのです。

こんなはずではなかった。

もしかしたらと、途中であきらめてしまう人もいるかもしれません。

もういいかな、と。

「はじまり」の期待や望みが大きければ大きいほど、理想と現実の狭間に苦しめられるのです。

冬の季節の凍えそうなくらい寒くて辛い時期を過ぎると、穏やかな温もりのある季節の春がやってくるのです。

気候が冬から春に変わるだけで気分までも変わるように感じるのは、本当に摩訶不思議です。

春になると土の中に潜っていた様々な生物が、暖かい日差しを待ちわびて顔を出してくるのです。

生命の生きようとする『いのち』は、「はじまり」をあらわしているのです。

それぞれの生命は、「はじまり」と同時に旅立ち、そして「おわり」を迎えるのです。

無常にも「生」と「死」をあらわしているのです。

また、「であい」と「わかれ」も同じことが言えるのです。

「出逢い」が印象的であった時ほど、「別れ」が辛く感じるのです。

永遠に続くと勘違いしてしまうのです。

さまざまな人と出逢い、別れを繰り返すことで、人はさらに成長していくのです。

例え、それが自分にとって理不尽な出逢いであったとしても、

また、忘れられないほど愛していた相手だったとしても、

すべて、自己成長のための出来事で、日めくりカレンダーのように時は過ぎていくのです。

一枚一枚カレンダーをめくるごとに、あらたな出逢いが待っているのです。

そして、「おわり」があるのです。

富安里佳

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